Japanese
English
特集 造血の機構
M1細胞の分化に関与する遺伝子群
Genes involved in M1 cell differentiation
志田 三穂
1
,
永田 和宏
1
Miho Shida
1
,
Kazuhiro Nagata
1
1京都大学胸部疾患研究所細胞生物学部門
pp.347-351
発行日 1994年8月15日
Published Date 1994/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900753
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生物学で,もっとも興味深いテーマのひとつは,1つの幹細胞が,どのようにしてさまざまな細胞に分化できるかという点である。近年,分子生物学の技術のおかげで血液細胞の分化を起こす因子や遺伝子が明らかになってきた。これらの発展にもっとも重要だったのは,in vitroで細胞系を樹立し,しかもin vitroで分化を起こすことができるようになった点である。1969年に市川康夫は,SLマウスに自然発症した骨髄性白血病細胞を試験管内で培養し,樹立した細胞株をM1と名づけた1)。M1細胞は,白血病性の骨髄芽球であるが,マウスの肺細胞のconditioned mediumを加えることによってマクロファージに分化し,のちに,この分化誘導物質は,IL-6(interleukin6),またはD factor/LIF(leukemia inhibitory factor)であることが明らかにされた2,3)。この総説では,最近明らかになってきたM1細胞の分化と関係する遺伝子,および分化誘導因子について概説する。
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