特集 カルシウムイオンを介した調節機構の新しい問題点
新しいカルシウム結合蛋白質:リカバリンとリカバリン様蛋白(Recoverin)
高松 研
1
,
野口 鉄也
1
Ken Takamatsu
1
,
Tetsuya Noguchi
1
1東邦大学医学部第二生理学教室
pp.249-250
発行日 1993年6月15日
Published Date 1993/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900567
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1.リカバリン
1)歴史(発見・命名)
脊椎動物の網膜視細胞では,光刺激の受容にともなったロドプシンを介した一連の反応によってcGMP濃度が減少し,cGMP依存性チャンネルが閉じ細胞内電位が過分極し活動電位となる。連続的な強い光のパルス刺激を与えるとcGMP濃度は減少しチャネルは閉じた状態が続くと思われるが,やがてcGMP濃度の回復過程が促進されるため光刺激に対する反応性を回復する。これが明順応の機序の一つと考えられる。これは連続刺激によりcGMPチャンネルが閉じた状態が続くと細胞内Caが減少し,この低Ca状態がグアニレートサイクラゼ(GCase)を活性化することによっている。このようなGCasc活性のCa依存性調節因子がウシ網膜に見い出され,光感受性を回復させる作用を持つことから,リカバリンと命名された1)。
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