特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉
Ⅲ.間葉系細胞株
線維芽細胞
マウス:3T3
梅田 誠
1
1横浜市立大学木原生物学研究所
pp.439-440
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900434
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■樹立の経緯
TodaroとGreen1)はマウス胎児線維芽細胞を厳密な継代スケジュールで培養したところ,しばらく増えたあと増殖率がおちたが,以後回復してほとんどすべての培養で3ヵ月以内に細胞株として樹立できることを示した。このとき,60mm径シャーレに3日毎の継代(Transfer)で,3×105個の細胞の植え込みを行ったもの(3T3)は,著しい増殖の接触阻害現象を示した。3日毎の継代で,6×105個あるいは12×105個の細胞を植え込んだもの(3T6または3T12)は明らかに悪性化していた(トランスフォーム細胞の項参照)。
上の実験は雑系Swissマウスを用いて行われたので,その後純系マウスのBALB/cマウス2,3)あるいはNIH Swissマウス4)を用いて同様の試みが行われ,それぞれで増殖の接触阻害を示す細胞株が樹立された。最初のものがSwiss/3T3,以後のものがそれぞれBALB/3T3,NIH/3T3と名付けられている。BALB/3T3細胞で良く使用されているものは原株からクローニングされたA31株,さらにそれからトランスフォーメーションに感受性の細胞としてクローニングされたA31-1-1株5)である。NIH/3T3細胞も実験に適したクローンが使用されている。
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