特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉
Ⅰ.上皮細胞株
消化器系上皮細胞
肝細胞
ラット腹水肝癌:AH 7974
村田 哲也
1
,
伊豆津 公作
2
1三重県厚生連中勢総合病院臨床病理科
2三重大学医学部病理学教室
pp.387
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900393
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■樹立の経緯・培養条件
標題のAH 7974株とここで触れる4種の関連株以外にも多くのラット腹水肝癌株が存在する。これらのほとんどすべてはp-ヂメチルアミノアゾベンゼン(DAB)またはその3'-メチル誘導体をラットに経口的に投与し,肝細胞癌を発生させ,その腫瘍細胞を新しい動物の腹腔内に移植して得られた株である。これらの株は正常の母細胞とそれから発生した癌細胞との比較,および共通の母細胞から発生した癌相互間の比較研究ができる点で利用価値がある。
AH 7974株は移植率のよいドンリュウラット(200~300g,雄性)を用いてin vivoで継代される。そのためには担癌動物から無菌的に採取した腫瘍腹水0.1mlを新しい動物の腹腔内へ無菌的に注入する。移植された動物では約5日で腹水が生じ,癌細胞が互いに接着して中型ないし大型の肝癌細胞島(islet)を形成し,それらが多数浮遊している。腹水はしばしば血性となる。移植後ラットの平均余命は約14日で,継代は移植後7日目頃に行う。
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