特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉
Ⅰ.上皮細胞株
消化器系上皮細胞
大腸上皮細胞
ヒト直腸癌:RCM-1
片岡 寛章
1
,
河野 正
1
1宮崎医科大学病理学第二講座
pp.379
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900386
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■樹立の経緯
大腸・直腸の癌は,近年増加傾向を示す主要な固形癌の一つである。これらの癌はリンパ行性転移のみならず,しばしば門脈系を介して血行性に肝臓に転移巣をつくることが知られている。われわれは癌転移機構の解析のために直腸・大腸癌細胞株樹立を試みてきた。これまで多くの大腸癌細胞株が報告されているが,好発部位であり,日本人の直腸原発巣に由来する癌細胞株は少ない。RCM-1(Rectal Cancer Miyazaki-1)は,73歳の日本人女性直腸癌原発巣(Borrmann 2型,Dukes' C,高分化型腺癌,一部粘液癌様)より樹立された腺癌細胞株である1)。術前血清中CEAは7.9ng/mlであり,また術前治療は受けていない。初代培養は1984年,切除された原発巣を1,500U/ml dispaseで消化し得られた細胞を培養することにより行った。
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