Japanese
English
話題
両生類の軸形成とFGF―ツメガエル受精卵へ注入されたbFGF mRNAによる背側および腹側中胚葉の誘導
Induction of both dorsal and ventral mesodermal structures in animal cap cells injected with Xenopus bFGF mRNA
浅野 美咲
1
,
塩川 光一郎
1
Misaki Asano
1
,
Koichiro Shiokawa
1
1東京大学理学部動物学教室分子発生学研究室
pp.248-252
発行日 1992年6月15日
Published Date 1992/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900349
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
イモリの初期胚を用いる発生学研究,とくに胚誘導研究には,ショウジョウバエ,センチュウ,ウニ,メダカ(あるいはゼブラフィッシュ),ニワトリ,あるいはマウスやラットの発生学研究とは明らかに異なる“面白味”がある。それは“マニピュレーション”,あるいは古典的といってよい胚の手術(もっと現代的に表現すると“胚操作”)が楽しめる,ということであろう。このことは,その胚操作によってノーベル賞を受賞したSpemannのオーガナイザー研究をみるまでもなく,すでに明らかなことと思われる。
ところで,最近の両生類の胚誘導の研究は昔と異なり,主としてツメガエルの胚を用いて行われている。これは胚操作の面白味をこのカエルにおいてとくに発達した遺伝子操作の成果と結びつけた結果である。ツメガエルの中期胞胚の動物極側の約1/3の細胞群(以下,アニマルキャップ)をアッセイ系として行われるこの中胚葉誘導機構の研究は,Spemann以来の古典的なこの分野の研究の様相を一変させてしまったといえそうである。今や中胚薬誘導の研究は,“発生学のルネッサンス”ともいわれるほどの活力をもって,一方では両生類胚を用いるこの分野の研究者に,他方ではそれまではもっぱら培養細胞を用いてきた成長因子あるいは原癌遺伝子の研究者たちに,尽きない興味と興奮を提供しているように思われる。
Copyright © 1992, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.