Japanese
English
話題
運動と骨格筋の血管新生
Effect of physical exercise on angiogenesis in skeletal muscle
大野 秀樹
1
,
山下 均
1
,
佐藤 昇
2
,
山本 三毅夫
3
,
石川 睦男
4
Hideki Ohno
1
,
Hitoshi Yamashita
1
,
Noboru Sato
2
,
Mikio Yamamoto
3
,
Mutsuo Ishikawa
4
1防衛医科大学校衛生学
2日本グラクソ㈱筑波研究所分子薬理
3防衛医科大学校第2生化学
4旭川医科大学産婦人科
pp.244-247
発行日 1992年6月15日
Published Date 1992/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900348
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最近,健康科学の一環として,運動研究が盛んになってきた。筋研究はその大きな比重を占めている。運動により骨格筋が肥大することはよく知られている1)。骨格筋肥大の研究は,神経生理学,免疫組織学,栄養学(エネルギー代謝)などに加え,生化学,分子生物学の最先端の技術も導入され,種々のアプローチが試みられている2)。
一方,筋が肥大するには,酸素と栄養物の供給が不可欠であり,当然,血管新生を伴うはずである。実際,運動により活動筋の毛細管の密度が増し,筋の横断面に占める毛細管の面積も増加する3,4)。筋血流量も,トレーニングにより増大する5)。毛細管密度や筋線維1本当たりの毛細管数の増加は,毛細管間の距離が短くなると同時に,酸素拡散距離も小さくなったことを意味し,筋への酸素供給に非常に有利となる。さらにIngjer6)は,トレーニング効果は遅筋線維であるType Ⅰに顕著で,毛細管数とミトコンドリアの含有量に密接な関係があることを明らかにしている。しかし,運動トレーニングと血管新生の研究は,未だにこのような古典的なレベルに止まっており,筋肥大研究と比較してかなり遅れをとっていることは否定できない。
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