Japanese
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特集 大脳皮質発達の化学的側面
大脳皮質発達とチアミン代謝
Postnatal change in thiamine metabolism in rat cerebral cortex
松田 敏夫
1
,
馬場 明道
1
Toshio Matsuda
1
,
Akemichi Baba
1
1大阪大学薬学部薬理学教室
pp.116-119
発行日 1992年4月15日
Published Date 1992/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900326
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チアミンは,ピルビン酸脱水素酵素,α-ケトグルタル酸脱水素酵素,トランスケトラーゼの補酵素として生体内代謝過程に関与しているビタミンで,神経系においては補酵素として以外の役割を有していると考えられている1)。神経系におけるチアミンの重要性は,チアミン欠乏の作用から容易に想像される。実験動物においてチアミン欠乏は痙攣,振戦,痙性麻痺,反弓緊張,旋回運動などの神経症状を発現させる。臨床的には,アルコール中毒者や栄養欠陥の際にチアミン欠乏が見られ,Wernicke症候群と呼ばれる多様な神経症状(眼球運動障害,運動失調,神経麻痺,逆行性記憶障害など)が発現する。また,Leigh症候群(亜急性壊死性脳脊髄症)においては脳チアミン三燐酸(TTP)量の著しい低下が見られる。すなわち,脳の正常な機能発現には必要十分量のチアミンが必要であり,とくに脳機能の発達過程においてチアミンは重要な役割をしていると考えられる。本稿においては,ラット大脳皮質のチアミン代謝の生後変化を中心に,神経系におけるチアミンの役割を示唆している成績を紹介する。
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