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特集 神経系に作用する薬物マニュアル
Ⅱ.チャネルに作用する薬物
オープンチャネル
Open channel
石田 美知子
1
,
篠崎 温彦
1
Michiko Ishida
1
,
Haruhiko Shinozaki
1
1(財)東京都臨床医学総合研究所・薬理
pp.416-417
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900237
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「概説」
ある種の局所麻酔薬が,シナプス電流の最大振幅をほとんど変えずにその減衰を速めるとか,あるいは初期の早い成分とそれに続く遅い成分の二つのcomponent(二相性)をもつようにするなど,競合的拮抗やいわゆる古典的な非競合的拮抗などの理論では説明できない現象1,2)が観察されるにおよび,いろいろな仮説が提唱された.最初,アセチルコリン受容体はNa+チャネルとK+チャネルを別々に持ち,プロカイン,リドカインなどの局所麻酔薬はこれらのチャネルに対して別々に作用する結果であるという仮説が提案されたが,実証することはできなかった。そこで登場したのが,オープンチャネルブロックの考え方である3)。これはアゴニストの作用によりイオンが通過するチャネルが開かれるが,いわば瓶の穴のコルク栓のように薬物分子自身によってチャネルが栓をされてしまうというものである。電気生理学的に観察される現象としては,アゴニストによる受容体の脱感作(desensitization)に良く似ている。この考え方はシナプスにおけるいろいろの薬物作用機作を説明するのに魅力的なモデルであり,いままで説明困難であった薬物の作用機序の多くがこのモデルにより説明可能になった。チャネルブロックは次式のように説明されている。
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