Japanese
English
特集 開口分泌の細胞内過程
分泌蛋白質の生合成―In situ hybridizationによる解析
Biosynthesis of secretory protein: Analysis by in situ hybridization
和泉 伸一
1
,
中根 一穂
1
Shin-ichi Izumi
1
,
Paul K. Nakane
1
1長崎大学医学部解剖学第3講座
pp.264-267
発行日 1991年8月15日
Published Date 1991/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900204
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I.分泌蛋白質の生合成に関与する要素とin situ hybridization
真核細胞で蛋白質が生合成されるには,遺伝子がhnRNAに転写され,スプライシングを受けてメッセンジャーRNA(mRNA)となる。mRNAは核から細胞質基質へ移行して,リボゾームと結合すると蛋白質への翻訳が開始される。mRNAの5'端にシグナルペプチド(シグナルシクエンス)をcodeする配列があると,そのmRNAは分泌蛋白質や膜構造蛋白質へと翻訳される。これらのmRNAはリボゾーム複合体を形成し,最初にシグナルペプチドが新生される。シグナルペプチドがリボゾームから突出し,いくつかの過程を経て小胞体に結合する。次々にリボゾームがmRNAに連結してポリリボゾームとなり粗面小胞体を形成し,シグナルペプチドとそれに連続して新生されたポリペプチド鎖は粗面小胞体内腔に導き出され,分泌蛋白質と膜構造蛋白質の生合成が進行する。
個々の細胞や組織の中で,特異的なmRNAの分布を検出する技法がmRNA in situ hybridization法(mRNA-ISH)である。mRNA-ISHにより分泌蛋白質のmRNAが検出されれば,その場でその時にその特異的な蛋白質が生合成されていると推定できる。
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