Japanese
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特集 脳と免疫
神経系と免疫系に共通の抗原としての糖脂質
Glycolipid antigens common to nervous and immune systems
楠 進
1
,
永井 克孝
2
Susumu Kusunoki
1
,
Yoshitaka Nagai
2
1東京大学医学部脳研究施設神経内科
2東京大学医学部生化学教室
pp.28-32
発行日 1991年2月15日
Published Date 1991/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900163
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糖脂質・糖蛋白質などの複合糖質分子は細胞表面に表現され,いわゆる「細胞の顔」として細胞同志の認識や接着に重要な役割を果たすと考えられている。また発育や分化に伴って表面抗原としての複合糖質が変化することが知られており,細胞の悪性化や活性化のマーカーとしても用いられている。
これらの複合糖質分子のなかには神経系と免疫系に共通する抗原として知られるものがある。神経系と免疫系は情報を伝達し,外部の情報を識別して反応するという点で共通した機能をもっている。機能の類似した両システムにおける共通抗原の存在は,両者の情報処理に関与する分子メカニズムの共通性を反映したものである可能性がある。また共通抗原に対する免疫現象を介して,神経系と免疫系が相互作用している可能性もある。共通抗原を手がかりとした研究は,いわゆる免疫性神経疾患(免疫異常が病態の基礎にある神経疾患)の解明につながることも期待される.この項では複合糖質なかでも糖脂質に焦点を当てて神経系と免疫系の共通抗原を紹介する。
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