Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
糖脂質は,主として細胞膜上に表現されており,いわゆる「細胞の顔」として,ホルモンや毒素のレセプターとなったり,細胞間の接着や認識に関わっていると考えられている。糖鎖配列の違いにより様々な糖脂質が知られており,その中には特定の神経細胞体・軸索・ミエリンなどに独特の局在や分布を示すものがある。
抗糖脂質抗体は,これら糖脂質の主として糖鎖を特異的に認識するものであり,自己抗体としてさまざまな疾患で報告されてきた。しかし,これまでの検討における抗体価の高さや検出頻度から考えて,発症機序の解析や診断のうえで意義のある抗糖脂質抗体は,自己免疫機序の関与する末梢神経障害にほぼ特異的にみられると考えられる。膜表面に存在する糖脂質に対して結合する抗体は,組織障害をきたす重要な因子となる可能性がある。また局在の明らかな糖脂質に対する自己抗体の存在は,脱髄性あるいは軸索障害性,運動障害性あるいは感覚障害性など,末梢神経障害にみられる独特の障害パターンの病態を解明する手がかりとなるものとして注目される。
Although serum antiglycolipid antibodies have been reported to be elevated in several neurological diseases, significant elevation is almost specific to autoimmune neuropathies, such as IgM para-proteinemic neuropathy, Guillain-Barre syndrome (GBS), multifocal motor neuropathy (MMN), and chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy (CIDP). In about half of the patients with IgM paraproteinemic polyneuropathy, IgM M-protein binds to sulfated glucuronyl epitope of someglycoproteins and glycolipids, including SGPG and SGLPG.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.