Japanese
English
連載講座 新しい観点からみた器官
大腸―分泌器官としての大腸上皮
Colon as a secretory organ
鈴木 裕一
1
,
寺川 進
2
Yuichi Suzuki
1
,
Susumu Terakawa
2
1山形大学医学部第2生理学教室
2生理学研究所機能協関部門
pp.63-69
発行日 1990年2月15日
Published Date 1990/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900013
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大腸の主要な役割は,口から入ったりあるいは消化吸収の際に分泌された水や電解質を,消化吸収の完了後に腸管から回収することである。実際,魚類では必ずしも明確でなかった大腸は,水分の保持を絶対的な課題とする両生類以降の陸生動物になって初めて,小腸と明確に区別できる独立した部分として認められるようになる。両生類,は虫類,鳥類の大腸末端には尿管が開口し総排泄口となっているが,大腸はここから逆流してきた尿を再吸収することも行い,腎臓での水分電解質保持機能を助けている。哺乳類になると,大腸と泌尿器系は互いに独立する1)。
大腸は動物による違いが著しい。これは,小腸が比較的動物差がないのと際だった対照をなす。この違いは主としてその動物の食性を反映しており,草食動物でとくに発達している。一般に大腸内には多数の腸内細菌が常在しており,小腸で消化されなかった多糖類(食物線維)を発酵し,主として酢酸,プロピオン酸,酪酸などの短鎖の脂肪酸に変えているが,食物の主要な部分が食物線維である草食動物では,この過程が著しく発達しており,大量に産生された脂肪酸を吸収して主要な栄養としている。ヒトでも,栄養としての寄与は小さいが,この発酵過程は盛んに起こっている2)。
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