Japanese
English
特集 脳と個性
Ⅰ.“個性”を理解する企て
社会性の発達と“個性”
Social development and “individuality”
明和 政子
1
Myowa Masako
1
1京都大学大学院教育学研究科
キーワード:
社会性
,
sociality
,
脳発達
,
brain development
,
母子間相互作用
,
mother-infant interaction
,
同期
,
synchrony
,
開放系
,
open system
Keyword:
社会性
,
sociality
,
脳発達
,
brain development
,
母子間相互作用
,
mother-infant interaction
,
同期
,
synchrony
,
開放系
,
open system
pp.18-23
発行日 2024年2月15日
Published Date 2024/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201808
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胎児期から身体を環境(他者,社会,文化)と複雑に相互作用させながら,ヒトの脳と心はシステムとして連続的に変化する。更に,個の生体システムを構成する要素は,環境の影響(エネルギー,物質,情報など)を受けながら自発的なリズム(振動子)を生成し,相互作用のしくみそのものを変えていく。この動的プロセスを理解することは,多様な脳と心の働き(個性)が創発する機序を理解することにつながる。
更に重要となるのは,脳の発達には環境の影響を特に受けやすい限定的な“感受性期(sensitive period)”が存在することである。感受性期には,脳-心のシステム(構造・機能)が環境との相互作用によって変容しやすいが,生後早期はとりわけその影響が大きい時期と言える。ヒトは極めて社会的な生物として進化してきた点を考慮すると,生後早期に受ける社会的経験,特に,特定の個体(養育個体)との相互作用は,ヒト特有の脳と心の創発・発達に大きな影響を与えるはずである。
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