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特集 新組織学シリーズⅢ:血管とリンパ管
Ⅲ.血管・リンパ管と病態
もやもや病の原因遺伝子と病態生理
Genetics and pathophysiology of Moyamoya disease
山本 由美
1
,
猪原 匡史
1
Yamamoto Yumi
1
,
Ihara Masafumi
1
1国立循環器病研究センター脳神経内科
キーワード:
もやもや病
,
RNF213
,
頭蓋内動脈狭窄
,
脳梗塞
Keyword:
もやもや病
,
RNF213
,
頭蓋内動脈狭窄
,
脳梗塞
pp.564-568
発行日 2022年12月15日
Published Date 2022/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201618
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もやもや病は,進行性の頭蓋内動脈狭窄・閉塞と,代償的に発達したもやもや血管と呼ばれる異常血管網を特徴とする指定難病である。わが国におけるもやもや病の発生率は,人口10万人当たり0.35-0.54人程度であり,男女比は1:1.8で女性に多く,東アジア人種で特に多く認められる1)。患者の10-15%が家族性発症であるため,遺伝要因の寄与が推定されていたが,近年,もやもや病の感受性遺伝子の一つとしてring finger protein 213(RNF213, mysterin)が同定された2,3)。わが国においては,RNF213 p.R4810K多型は家族性もやもや病患者の約90%に見いだされ,疾患との非常に強い相関を示す一方で,一般人口においても2-3%の未発症キャリアが存在し,発症には追加の遺伝もしくは環境要因が必要と考えられている3-5)。また,もやもや病の診断基準を満たさない未発症のp.R4810K多型保有者においても,頭蓋内動脈狭窄・閉塞に重要な役割を果たしている可能性が示唆されており6,7),孤発性を含めた頭蓋内動脈狭窄を伴う脳梗塞例の発症に関与する重要な因子として,RNF213が注目されている。
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