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特集 新組織学シリーズⅠ:最新の皮膚科学
天疱瘡における自己反応性T細胞とB細胞の役割
The roles of autoreactive T and B cells in pemphigus
高橋 勇人
1
Takahashi Hayato
1
1慶應義塾大学医学部皮膚科
キーワード:
自己反応性T細胞
,
デスモグレイン
,
interface dermatitis
,
扁平上皮化生
Keyword:
自己反応性T細胞
,
デスモグレイン
,
interface dermatitis
,
扁平上皮化生
pp.567-572
発行日 2020年12月15日
Published Date 2020/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201284
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天疱瘡は,重層扁平上皮に発現するカドヘリン型接着分子であるデスモグレイン(Dsg)に対する自己抗体により生じる自己免疫性水疱症の一つである。自己抗体がDsgによる細胞接着を阻害することにより,皮膚や口腔粘膜などにびらん・水泡が生じる重篤な自己免疫疾患である。天疱瘡でみられる表皮内水疱は,病理学的には角化細胞の変性を伴わずに細胞同士が解離しており,棘融解といわれる。
DsgにはDsg1-4があり,天疱瘡は抗Dsg3抗体により生じる尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris;PV),抗Dsg1抗体により生じる落葉状天疱瘡(pemphigus foliaceus;PF),腫瘍に合併し特異な経過をたどる腫瘍随伴性天疱瘡(paraneoplastic pemphigus;PNP)の大きく3つに分類される。自己抗体により生じる天疱瘡のモデルとして,Dsg3分子に注目しPVモデルマウスが開発され,天疱瘡の病態解析がなされてきた。天疱瘡においてなぜ自己抗体が生じるのか,という究極の問いに関しての答えはいまだに得られていないが,自己抗体による水疱形成機序やB細胞から抗Dsg3抗体を産生させるT細胞の性質などについては,動物モデルを用いて飛躍的に解析が進んだ。また,動物モデルの解析により,Dsg3に対する自己免疫応答が天疱瘡という病態のみを誘導するだけでなく,interface dermatitisという病理学的変化をとる皮膚炎も誘導し得ることがわかってきた。
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