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特集 細菌叢解析の光と影
Ⅳ.ゲノム進化・メタゲノム
難培養微生物を対象としたシングルセルゲノミクスの課題と展望
Challenges and prospects in single-cell genomics for uncultivable bacteria
細川 正人
1,2
,
西川 洋平
3
,
竹山 春子
3
Hosokawa Masahito
1,2
,
Nishikawa Yohei
3
,
Takeyama Haruko
3
1早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構
2科学技術振興機構さきがけ
3早稲田大学先進理工学研究科生命医科学専攻
キーワード:
シングルセルゲノミクス
,
微小液滴
,
全ゲノム増幅
Keyword:
シングルセルゲノミクス
,
微小液滴
,
全ゲノム増幅
pp.150-154
発行日 2017年4月15日
Published Date 2017/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200598
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環境中の微生物はそのほとんどが難培養性であり,微生物が有する未知の遺伝子情報は,生物界におけるダークマターとたとえられている1)。次世代シーケンサーの登場によってメタゲノム解析が広く行われるようになり,難培養微生物の遺伝子情報を網羅的に取得することが可能となった。メタゲノム解析では,多量の遺伝子断片情報から微生物叢の全体組成を明らかにすることや,特定の遺伝子配列を探索することができる。しかし,断片化した遺伝子情報から微生物個々のゲノムを完全に再構築することは困難である。「どの微生物がどの遺伝子を保有しているか」,「どの微生物が宿主や環境中にとって有用または不利益な働きを担っているのか」といった問いに答えを導くには,微生物個々のゲノム情報を1細胞レベルで詳細に解読するシングルセルゲノミクスが必要となる。
近年では,微生物1細胞が持つ微量なゲノム情報を増幅し,配列解析するための様々な手法が提案されており,シングルセルゲノミクスが実現されつつある。本稿では,近年のシングルセルゲノミクスの研究事例を紹介すると共に,現状の手法における問題点とその解決に向けた新しい技術開発について,筆者らの研究成果を含めて報告する。
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