特集 記憶ふたたび
特集「記憶ふたたび」によせて
岡本 仁
1
1理化学研究所脳科学総合研究センター副センター長
pp.2-3
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200387
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脳の機能のなかで記憶は,最も基本的で重要な機能であると言える。脳科学の研究の歴史においても,パブロフの条件学習の発見に始まり,一昨年度にノーベル生理学・医学賞を受賞したO'KeefeとMoser夫妻らの海馬における場所細胞の発見に至るまで,記憶の研究は脳科学を推進する大きな原動力になってきた。
学習において,脳の神経回路にどのような変化が起こるのかについて初めて深い考察をしたのは,カナダの心理学者Donald Olding Hebb(1904-1985)である。Hebbは,『The Organization of Behavior:A Neuropsychological Theory』(John Wiley & Sons, Inc., New York,1949)*という本において以下のような一連の予言を行った。これは,現在“Hebbの規則”と呼ばれている。
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