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特集 エピジェネティクスの今
高血圧とエピジェネティクス
Epigenetics in the pathophysilogy of hypertension
上田 浩平
1
,
藤田 敏郎
1
Ueda Kohei
1
,
Fujita Toshiro
1
1東京大学先端科学技術研究センター 臨床エピジェネティクス講座
pp.579-584
発行日 2014年12月15日
Published Date 2014/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200083
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高血圧は全世界で10億人,わが国の4,000万人が罹患する疾患であり,脳心血管障害発症の重要な危険因子である。様々な基礎・臨床研究の成果に基づき,減塩などの生活指導やRAAS阻害薬などの薬物療法が高血圧治療において効果を上げているものの,そのような治療に抵抗性の高血圧や心血管合併症の発症が逆に増加していることから新たな高血圧治療も開発が注目されている。
高血圧は一部の人種や家系に集積した発症がみられることから,古くから遺伝的素因の関与が推測されてきた。そして昨今の分子生物学的な解析技術の発展や疾患動物モデルの解析を通じた基礎研究によって,高血圧発症に寄与すると考えられる関連遺伝子もしくは遺伝子変異が数多く同定されてきたが,残念ながら近年行われたヒトの大規模ゲノム解析研究の結果とは必ずしも一致しなかった。つまり単一よりは複数の遺伝子素因,もしくは遺伝子そのものとは異なる未知の因子が高血圧の発症機序として必要であることが推測された。
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