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特集 エピジェネティクスの今
エピジェネティクス研究の歴史と今
The past and present of epigenetics research
井上 晃太
1,2
,
一柳 健司
1
,
佐々木 裕之
1
Inoue Kota
1,2
,
Ichiyanagi Kenji
1
,
Sasaki Hiroyuki
1
1九州大学生体防御医学研究所 ゲノム機能制御学部門 エピゲノム制御学分野
2九州大学医学系学府医学専攻
pp.529-534
発行日 2014年12月15日
Published Date 2014/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200074
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エピジェネティクスは半世紀以上の生物学の歴史によって形づくられた概念であり,その分子メカニズムの解明と疾患やリプログラミングとの関連が相まって,最近になって特に注目されている学問分野でもある。エピジェネティクスという言葉は受精卵から個体を作り上げる発生現象がエピジェネシス(後成)の過程であることを説明するために,Waddingtonによって1950年代に初めて用いられた1)。そこでは,一つの細胞(受精卵)から新たな細胞系譜が次々と分岐すること,しかもその分化は一方向性(分化状態から未分化状態へ戻ることはない)であることが強調されている(図1)。また,同じ遺伝子型であるにもかかわらず異なる分化を遂げた細胞が,細胞分裂を経て異なる表現型を示し続けることもエピジェネティクスである。現在では“DNA塩基配列の変化を伴わず継承される核の遺伝的形質(あるいは遺伝子発現変化)”という定義が広く浸透している。ここでは,これまでのエピジェネティクスの研究の歴史を振り返る。
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