Japanese
English
特集 精神疾患の病理機構
22q11.2CNVのマウスモデルからみた精神疾患
Deconstructing neuropsychiatric disorders in mouse models of 22q11.2 CNV
廣井 昇
1,2
Hiroi Noboru
1,2
1アルバート・アインシュタイン医科大学 精神科
2アルバート・アインシュタイン医科大学 神経科学科
1Department of Psychiatry and Behavioral Sciences, Albert Einstein College of Medicine
2Department of Neuroscience, Albert Einstein College of Medicine
キーワード:
22q11.2
,
CNV
,
統合失調症
,
自閉症
,
知的障害
,
マウスモデル
,
社会行動
,
作業記憶
,
常同行動
,
PPI.
Keyword:
22q11.2
,
CNV
,
統合失調症
,
自閉症
,
知的障害
,
マウスモデル
,
社会行動
,
作業記憶
,
常同行動
,
PPI.
pp.20-27
発行日 2014年2月15日
Published Date 2014/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101571
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Abstract
これまで調べられてきたどの遺伝子変異よりも精神疾患を高い頻度で起こす,数メガベースにも及ぶ染色体の欠損や重複の存在が最近の研究で明らかになってきた。これらのcopy number variants(CNVs)と呼ばれる染色体欠損重複は,同一のCNVでも自閉症,統合失調症,知的障害,注意欠陥多動性障害など臨床上多岐にわたる疾患を引き起こし,それが個々人では異なる。しかしながら,個々のCNVが1個以上の,多くのケースでたくさんの遺伝子を含むため,CNVに含まれる遺伝子がどのように精神疾患に関与するかのメカニズムの解明が遅れている。われわれの研究チームは22q11.2欠損重複と統合失調症や自閉症の連鎖の研究をマウスモデルで発展させ,22q11.2に含まれる30以上の遺伝子すべてが平等には種々の表現型に作用せず,しかも各々の遺伝子の行動表現型の発現は生まれてからの発達上の時間軸でプログラムされており,環境因子や背景遺伝子での塩基配列多型によって表現型の種類や強度が変わっていくことを解明してきた。このメカニズムが他のCNVsの一般説明概念になりうるか,また,特定遺伝子とマウスの行動表現型との関連がヒトにも敷衍しうるかはこれからの研究に俟つが,CNVと精神疾患のメカニズムの解明が分子レベルでの精神疾患の新しい分類および治療法の開発に資することが期待される。
Copyright © 2014, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.