Japanese
English
特集 顕微鏡で物を見ることの新しい動き
生体試料におけるSecond Harmonic Generationイメージング
Applications of the second harmonic generation imaging to biomedical researches
塗谷 睦生
1
Nuriya Mutsuo
1
1慶應義塾大学医学部 薬理学
pp.545-550
発行日 2013年12月15日
Published Date 2013/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101550
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
光学顕微鏡における生体試料の観測においては,試料に光を当て,試料により変換された光を観測することで対象の情報を取得する。つまり,物質と光の何らかの相互作用を利用することで,試料内の物質の情報を光の変化として捉えているわけである。例えば光の屈折率の違いから細胞の形態を観測したり,光による励起を利用して蛍光物質の細胞内局在を得たりする。このように考えると,生体物質と光との相互作用の様式が変化すれば獲得できる情報,あるいは見える像も変わってくることがわかる。レーザーの開発により数多くの光と物質の相互作用が明らかにされるなかで,特定の物質にレーザー光が入力すると,その結果としてその第二高調波,つまり振動数が2倍で波長が半分の光が発生する,光第二高調波発生(second harmonic generation;SHG)という現象が見いだされた。この光学現象を利用するのが光第二高調波イメージング,あるいはSHGイメージングである。SHGイメージングは二つの光子と物質との相互作用の結果を可視化するという意味で多光子顕微鏡,なかでも2光子顕微鏡の一種である。しかし,生体イメージングにおいてより広く普及した2光子励起顕微鏡とは異なる物質と光の相互作用に基づいており,よって全く異なる生体情報の獲得を可能にする1)。本稿ではSHGイメージングの原理について概説し,その特徴を活かした生体試料のイメージングへの応用,更にその展開について述べる。
Copyright © 2013, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.