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特集 特殊な幹細胞としての骨格筋サテライト細胞
骨格筋幹細胞による筋ジストロフィーの治療
Muscle stem cell-based therapy for Muscular Dystrophy
本橋 紀夫
1
,
朝倉 淳
1
Norio Motohashi
1
,
Atsushi Asakura
1
1ミネソタ大学医学部 幹細胞研究所 ポール&シェイラ・ウェルストーン筋ジストロフィーセンター 神経内科
pp.144-148
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101427
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筋ジストロフィーとは筋線維の変性・壊死を主病変とし,筋再生を繰り返しながら次第に筋萎縮および筋力低下を呈する遺伝性疾患である。Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)は,最も頻度が高く,出生男子の約3,500人に1人の割合で発生する,重症かつ進行性の遺伝性筋疾患である1)。DMD患者はX染色体短腕に存在するジストロフィン遺伝子に変異を持つため,ジストロフィン蛋白質が形成されない2,3)。筋細胞膜直下に局在するジストロフィンの欠損により,筋形質膜が機械的な刺激に対して脆弱であることがDMDの主病因であると考えられる。現在DMDに対する根本的治療法は見つかっていないが,1990年代初期からDMD患者に対する治療法の一つとして,ジストロフィンを発現する細胞を移植することが試みられている。当初,筋サテライト細胞を培養して得られる筋芽細胞移植が試みられたが,治療まで直結できるような効果は得られなかった。その後,筋芽細胞に代わる新たな移植細胞源として,骨格筋分化能を有する様々な幹細胞が用いられ,現在研究が行われている。
本稿では,DMDに対するこれまで行われてきた細胞移植治療を解説したうえで,細胞移植源として期待されている新たな幹細胞を用いたDMD治療に関する最新の知見を紹介する。
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