特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官
3.ゴルジ体
酸性オルガネラのpHホメオスタシスとアニオンチャネルGPHR
前田 裕輔
1
Yusuke Maeda
1
1大阪大学 微生物病研究所 免疫不全疾患研究分野
pp.422-423
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101339
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●酸性オルガネラとは
細胞・生物は数多くの複雑な生命反応を効率的に遂行するために,空間的なコンパートメント化,すなわち器官形成や細胞のオルガネラ(小器官)形成という巧妙な手段を用いる。各々のコンパートメントはその機能・役割にとって最適な環境やタンパク質・脂質成分を保持している。コンパートメント内腔のpHはその機能にとって重要な環境因子の一つであり,厳密に調節されている。例えば細胞質では中性付近に調節されている。一方,分泌経路やエンドサイトーシス経路に位置するゴルジ装置,分泌小胞,分泌顆粒,エンドソーム,リソソームなどのオルガネラはその内腔側がpH 4.5~6.5程度の弱酸性に保たれ,大まかにいってタンパク質の流れに沿ってより酸性側に傾くpH勾配を形成している1,2)。それがゆえに,これらは総称して酸性オルガネラと呼ばれる。
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