Japanese
English
特集 細胞死か腫瘍化かの選択
胆汁酸による発がんプロモーションとアポトーシス
Carcinogenesis promotion and apoptosis mediated by bile acids
佐伯 徹
1
Tohru Saeki
1
1京都府立大学 生命環境科学研究科 分子栄養学研究室
pp.619-623
発行日 2010年12月15日
Published Date 2010/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101093
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胆汁酸は肝臓においてコレステロールから合成され,脂質や脂溶性ビタミンなどの消化吸収を助ける界面活性剤として働く。ヒトの胆汁に見られる主要な胆汁酸はコール酸およびケノデオキシコール酸であり,グリシンあるいはタウリンとアミド結合した抱合アミノ酸として胆汁に分泌される(図1)。
小腸内に分泌された胆汁酸の大部分は,回腸末端において能動的に再吸収されて肝臓へ戻る。ヒトはコレステロールをCO2とH2Oまで異化する代謝経路を持たないため,コレステロールの主要な代謝産物である胆汁酸の動態は,体コレステロールの恒常性維持(あるいは過剰なコレステロールの排泄)に重要な意味を持つ。また,胆汁酸はシグナル分子としての役割も担うことから,その動態は種々の代謝経路にも影響する。
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