特集 シナプスをめぐるシグナリング
7.キナーゼ/ホスファターゼ
Protein phosphatase(PP)1と2A
遠藤 昌吾
1
Shogo Endo
1
1東京都健康長寿医療センター研究所 老化制御研究チーム
pp.464-465
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101050
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可逆的なタンパク質のリン酸化は,生体反応にとってきわめて重要である。キナーゼによるリン酸化が様々な場面で強調されるが,脱リン酸化を司るホスファターゼも精緻な細胞反応に必須である1)。特に神経可塑性,神経細胞の興奮性などは定常状態に加えて増加-減少の両方向に制御される。双方向性の確保にはキナーゼに加えてホスファターゼが重要である。428種類のセリン/スレオニンキナーゼ(protein Ser/Thr kinase)がヒトの遺伝子上に同定されたのに対して,セリン/スレオニンホスファターゼ(protein Ser/Thr phosphatase;PP)はわずか30種類である1)。多くのPPホロ酵素は各種の制御サブユニット(Regulatory subunit,Rサブユニット)と結合して複合体として存在する。これらの複合体がPPに多様な生理機能を付与し,多数のキナーゼに対応している1)。
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