Japanese
English
連載講座 老化を考える・3
臨床医学から見た老化の分子生物学
Clinical aspects of molecular biology in aging science
楽木 宏実
1
,
荻原 俊男
1
Hiromi Rakugi
1
,
Toshio Ogihara
1
1大阪大学大学院 医学系研究科 老年・腎臓内科学
pp.359-363
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101011
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われわれは,老年内科を診療する立場にたって,老年医学研究を続けている。25年ほど前,筆者らが研修医ならびに主治医の関係で診療をした患者に,Hutchinson-Gilford Progeria(HGP)症候群の患者がいる。繰り返す重症心不全と重症高血圧で44歳で入院され,45歳という世界最高齢まで存命されたが,急性心筋梗塞で逝去された症例である1)。当時は原因不明の疾患であり,なぜ平均寿命が12歳程度とされる本症で45歳まで生存できたのかも不明であった。この10年あまりの間に原因遺伝子が特定され,本症例でも遺伝子変異が確認され,臨床症状からだけでなく,遺伝子レベルでも診断が確認された2)。このような進歩は,まさに分子遺伝学の進歩に負うところが大きい。本稿では,われわれがこれまで関与してきた老化に関連する臨床病態について,特に臨床医からの興味を中心に分子生物学的側面を概説する。
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