書評
―外山敬介,甘利俊一,篠本滋 編―「脳科学のテーブル」
池谷 裕二
1
1東京大学
pp.570
発行日 2008年12月15日
Published Date 2008/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100817
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のっけから個人的な話で恐縮だが,私が脳科学に携わってから(学生時代も含めると)ほぼ15年になる。15年前といえば私の研究分野では,CaMK Ⅱノックアウトマウスが作製されたり,低頻度刺激による海馬長期抑圧が発見されたり,樹状突起からパッチクランプ記録が行われ始めたりと,だいたいそんな時期である。つまり,それ以降の研究進展については,私はリアルタイムでフォローしているが,それ以前の研究については,主に「教科書」を通じてレトロスペクティヴに学習したものということになる。
『脳科学のテーブル』を読んだ。どんな教科書よりもワクワク,そしてドキドキした。乾燥した荒野に水が注がれるような快感。頭の中にあった無機的な知識として脳の理解や学説が,どんな歴史的経緯で生まれ,どんなふうに揉まれ,どう変容してきたのかが,活き活きとしたイメージへと変換されていく。
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