Japanese
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特集 ラフトと細胞機能
ラフトマイクロドメインとシグナリング
Lipid rafts and cell signaling
清河 信敬
1
,
片桐 洋子
1
,
藤本 純一郎
1
Nobutaka Kiyokawa
1
,
Yohko Katagiri
1
,
Jun-ichiro Fujimoto
1
1国立成育医療センター研究所発生・分化研究部
pp.272-277
発行日 2003年8月15日
Published Date 2003/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100746
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脂質二重層である細胞膜の構造は均質ではなく,局所的に特定の脂質や蛋白が集積して機能的なマイクロドメインを形成し,1)細胞接着,2)細胞膜輸送,3)刺激伝達などの様々な細胞現象に関与していると考えられている1)。このようなドメイン構造の概念は1970年代の始めにすでにその原形となるモデルが提唱されており,その後多くの発見とともに変遷し2,3),現在の“脂質特性の差に基づいて細胞膜上で特定の蛋白のみを局在化させる分子装置”という概念に発展してきた。このドメイン構造は,その概念確立の過程で様々な名称で呼ばれてきたが3),近年は“細胞膜上で筏のように浮かんだプラットフォーム”をイメージした“lipid rafts(ラフト)”という呼称が最も一般的なものとして定着しつつある4)。しかし,後述のように細胞膜上には構造,性格や機能の異なる多様なマイクロドメインが存在すると考えられることから,これらすべてを包括する名称として“ラフト”を用いることには異論もある3)。また,その構造や機能の詳細については未解明な部分も多い。本稿ではこの“ラフト”の刺激伝達への関与について概説し,今後解明が期待される問題点について言及する。
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