Japanese
English
特集 樹状突起
ニューロステロイドのシナプス形成誘導作用
Synaptogenesis in response to neurosteroids in the Purkinje cell
筒井 和義
1
,
坂本 浩隆
1
,
浮穴 和義
1
,
古川 康雄
1
Kazuyoshi Tsutsui
1
,
Hirotaka Sakamoto
1
,
Kazuyoshi Ukena
1
,
Yasuo Furukawa
1
1広島大学総合科学部生物圏科学研究科脳科学研究室
pp.130-137
発行日 2003年4月15日
Published Date 2003/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100736
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高次情報中枢である脳は末梢内分泌腺が合成するステロイドの標的器官として捉えられてきた。ところが,最近の研究により,脳も独自にコレステロールをもとにステロイドを合成していることが明らかとなった。この新しい概念の脳分子は,末梢内分泌腺がつくる従来の「古典的ステロイド」と区別して,「ニューロステロイド(neurosteroids)」と名付けられた。脳のニューロステロイド合成は,哺乳類を用いたBaulieuら(INSERM,フランス)の研究とわれわれの鳥類,両生類,魚類の研究により見出された。脊椎動物の脳は共通して,コレステロールをもとにプレグネノロン,プレグネノロン硫酸エステル,デヒドロエピアンドロステロン,プロゲステロン,プロゲステロン代謝ステロイド(アロプレグナノロンあるいはエピプレグナノロン),テストステロン,エストラジオールなどを合成する。
これらのニューロステロイドの作用を解析するには,脳のニューロステロイド合成細胞を明らかにする必要があった。われわれは,可塑性シナプスを有するニューロンとして知られる小脳のプルキニエ細胞(Purkinje cell)が活発にニューロステロイドを合成することを見出し,ニューロンによるニューロステロイド合成を初めて証明した。プルキニエ細胞が脳の代表的ニューロステロイド合成細胞であることは脊椎動物に一般化される重要な発見である。
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