特集 生命科学のNew Key Word
11.薬理/生理
NO情報伝達系
小倉 勤
1
Tsutomu Ogura
1
1国立がんセンター研究所支所がん組織生理機能解析プロジェクト
pp.518-519
発行日 2004年10月15日
Published Date 2004/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100631
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血管内皮細胞由来弛緩因子の本体がNOである発見から約25年が経ち,生体内で産生されるガス状物質NOが種々の情報伝達物質としての役割を担っていることが明らかとなった。生体内では,NOはL-アルギニンと2分子の酸素を用いL-シトルリンと共に生成され,その反応を触媒するのがNO合成酵素である。NO合成酵素は,神経型,血管内皮型,誘導型の3種が見出されている。NOは分子内に不対電子1個を持つフリーラジカルの特性を持つため,生体内のフリーラジカルや金属イオンと容易に反応する。また,NO由来酸化物とチオール間のS-ニトロソ化やチロシンのニトロ化反応が生体内機能を変化させる。これらの反応がNOの情報伝達に重要な役割を担っている。
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