特集 生物進化の分子マップ
19.モータータンパク
単細胞生物から見たキネシンの分子進化
岩井 草介
1
,
須藤 和夫
2
Sosuke Iwai
1
,
Kazuo Sutoh
2
1産業技術総合研究所セルエンジニアリング研究部門
2東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系
pp.480-481
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100321
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
キネシンは微小管に沿って滑り運動をするモーター蛋白質の一群である。現在では数百種類以上もの類似蛋白質が単細胞生物からヒトに至る広範な真核生物で同定されており,少なくとも14のサブファミリーからなる大きなスーパーファミリーを形成していることがわかっている1)。
本稿では,真核生物の進化において比較的初期に分岐したと考えられる二つの単細胞真核生物,細胞性粘菌Dictyostelium discoideum(増殖期は単細胞)とランブル鞭毛虫Giardia lambliaより同定されたキネシン遺伝子2-5)をもとに,初期の真核生物に存在していたキネシンを推測する。また単細胞生物を用いたキネシン研究の例として,最近われわれが発見したキネシン1の新しい機能についても紹介したい。
Copyright © 2006, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.