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中枢神経系シナプスにおいて,ミリ秒単位の生体信号伝達を行う代表的化学伝達物質として三つのアミノ酸があげられる。興奮性のグルタミン酸(Glu),抑制性のγ-アミノ酪酸(GABA)とグリシン(Gly)である。これらの化学伝達物質は,シナプス後膜側の各々の受容体・イオンチャネル複合体を介し脱分極(内向き電流)や過分極(外向き電流),すなわち興奮性シナプス後電位または電流(EPSP/EPSC)や抑制性シナプス後電位または電流(IPSP/IPSC)を発生させる。いわゆるシナプス後興奮やシナプス後抑制を起こすことが知られている。ところで,このようなGlu,GABAやGly作動性シナプス前神経終末からのこれら化学伝達物質の過剰な遊離は下記の模式図(図1)に示す仕組みで直接または間接的に制御されている。すなわち,1)Autoreceptors(自己受容体),2)Axo-axonic synapses(Presynaptic inhibition:軸索間シナプス/シナプス前抑制),3)Spill-over/retrogrande regulation(逆行性調節),4)Voltage-dependent ion channels:Na+,K+,Ca2+,Cl-(電位依存性イオンチャネル),5)2nd messengers:cAMP,PKA,PKCなど(2ndメッセンジャー),6)Ion co-transporters(イオン共輸送)。
本稿では,特にファーストトランスミッターであるGlu,GABAやGlyの遊離を制御する各々のシナプス前終末部膜上に存在する自己受容体とシナプス前抑制を惹起する軸索間シナプスに焦点をあて,神経終末部からの化学伝達物質の過剰遊離の制御機序と,これに関与するイオンチャネルの機能的役割について最新のデータも含めて解説する。
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