特集 現代医学・生物学の仮説・学説
4.シグナル伝達系
セカンドメッセンジャーとしてのカルシウムイオン
御子柴 克彦
1
1東京大学医科学研究所化学研究部
pp.524-527
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900630
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
概説
細胞内での情報伝達分子としての地位をCa2+が得たのは,江橋による骨格筋の収縮・弛緩の研究以降である。骨格筋におけるCa2+結合蛋白質としてトロポニンCの発見は,重要なものであった。さらに垣内による脳組織中のフォスフォジエステラーゼ活性化因子としてカルモジュリンの発見を契機に,続々とCa2+結合蛋白質が発見され,Ca2+の重要性がますます注目されるようになってきた。Ca2+は細胞膜上のチャネルを介して細胞内へ流入するのみならず細胞内のCa2+貯蔵部位より,IP3依存的に,あるいはCa2+依存的に放出される機構が明らかになるに従って,Ca2+のダイナミックな動員のメカニズムが解明されつつある。
Copyright © 1993, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.