Japanese
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特集 アディポゲネシス
脂肪細胞の分化におけるカルパインの役割
Calpain system regulates the differentiation of adipocyte differentiation
矢島 由紀子
1
,
佐藤 眞友美
2
Yukiko Yajima
1
,
Mayumi Sato
2
1東京都臨床医学総合研究所ゲノム動態プロジェクト
2東京都臨床医学総合研究所がん治療プロジェクト
pp.181-188
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100167
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プロテアーゼは生体の要求に対応してタイミングよく速やかに特定の標的タンパク質を抹消し,また非特異的に細胞の構成タンパク成分を分解して,生体反応の進行,維持,調節に作用するきわめて重要な細胞内モジュレーターである。それゆえに,プロテアーゼ系の制御破綻は様々な疾患をもたらす。しかし,その分子機構はいまだ明確にされていない。Ca2+要求性のプロテアーゼ,カルパインは種々の細胞内機能,細胞増殖,分化に関与することが報告されている1)。例えば,ヒトカルパイン3(p94)のプロテアーゼ活性の喪失が肢帯型筋ジストロフィー症2A型の発症をもたらすことや,2型糖尿病の発症に関わる原因遺伝子の一つとしてカルパイン10が報告されている3)。
カルパイン(EC3.4.22.17,clan CA family C2)はバクテリアから哺乳類までに広範囲に存在し,活性化にCa2+を必要とする細胞内中性システインプロテアーゼである。カルパインは通常,細胞質に不活性型で存在し,Ca2+イオンとリン脂質によって活性化される。その過程は,膜分画へのカルパインの移行によってサブユニットが乖離して活性化される。カルパインが触媒するタンパク質分解は典型的な限定分解であり,その結果,基質タンパク質の活性化や不活性化,もしくは変性が起こる。カルパインのin situ活性はカルパイン濃度,Ca2+濃度,カルパインの細胞内存在様式,そして内在性の阻害因子カルパスタチンによって調節されている。われわれは,カルパインが成体由来と胎児由来の脂肪細胞の分化において,ユニークな役割を果たすことを見出したので紹介する。
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