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カルパインとカルパスタチン
高野 恵美子
1,2
,
牧 正敏
1
1京都大学ウイルス研究所
2国立京都病院
キーワード:
カルパイン
,
カルパスタチン
Keyword:
カルパイン
,
カルパスタチン
pp.797-798
発行日 1993年7月15日
Published Date 1993/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901612
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カルパインは,カルシウム依存性システインプロテイナーゼである.1964年,Ca2+で活性化される中性プロテアーゼとしてGuroffによって見いだされたが,後に,ホスホリラーゼbキナーゼの活性化因子と同一であることが明らかにされた.Ca2+濃度要求性の異なる2種類が存在し,低濃度感受性型をμ型,高濃度型をm型と呼ぶ.ともに分子量80kDaの大サブユニットと30kDaの小サブユニットから成る.一方,カルパスタチンはカルパインの内在性阻害蛋白質として,Waxmanらおよび村地らによって発見された.カルパインとカルパスタチンは,動物の組織,細胞に広く存在する1,2).これらの蛋白質の精製,ならびにcDNAによる一次構造解析などは日本の研究者によってなされた3).
カルパインは,Ca2+を結合するカルモジュリン様領域とパパインなどに似たプロテアーゼ領域を含む.種々の蛋白質を限定分解して,不可逆的変化をもたらすことによって,Ca2+に伴う細胞機能調節を行っていると考えられる.カルパインの天然基質は数十種報告されている.Cキナーゼ,筋蛋白質,核蛋白質や膜蛋白質,膜貫通蛋臼質NCAM,N-カドヘリン,翻訳開始因子4Fの分解,リンホカイン(IL-Iα)のプロセッシングなどである.
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