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近年、日本に滞在する外国人数は着実に増加しており、短期滞在者だけでなく、長期的に生活する人々や、日本で生まれる外国籍の子どもたちも増えている。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2060年には外国にルーツを持つ住民が日本の総人口の10%以上に達する可能性がある(国立社会保障・人口問題研究所, 2017)。このような変化に伴い、地域で外国人の健康を支えるプライマリ・ケアの重要性が増している。
医師が外国人を診療する機会も増えてきている昨今、しかしながら「外国人診療」という言葉には、しばしばステレオタイプなイメージが伴う。例えば言語について「英語が話せないと外国人を診られない」という誤解は根強いが、日本に滞在する外国人は多い順に中国、ベトナム、韓国、フィリピン、ブラジル出身者であり、英語を第一言語としない人が多数を占める(法務省, 2023)。「外国人診療」におけるコミュニケーションは、まずは「やさしい日本語」(→p.607)を入り口としつつ、診療には専門職である医療通訳が同席して、母国語で診察が受けられることが本来の患者の権利である。しかし日本ではまだ、医療通訳は公的な制度として普及していない。また「外国人診療」は、例えば労災やメンタルヘルス、妊娠・出産、結核やHIVといった特定領域に限定して発信されがちである。
一方で、実際には、多くの外国人が日本人と同様に、日本で生まれ、学び、働き、多様な家庭を持ち、老いて死を迎えるという生涯を歩んでいる。そうした一人の地域住民に対して、総合診療医がライフステージを通じて継続的に関わるという包括的な視点は、これまであまり取り上げられてこなかった。
本特集では、そのような人生の各段階における外国人の健康と医療への接点を多角的に取り上げ、外国人当事者や支援団体、行政関係者の声も交えて構成した。また、急増する訪日外国人への総合診療医の役割についても考察する。本特集は多様な立場の視点を通じて、読者の日々の診療に新たな気づきをもたらすことを目指している。

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