Editorial
総合診療医にとって見逃しがちな婦人科・泌尿器科疾患
山中 克郎
1,2
1諏訪中央病院総合診療科
2諏訪中央病院看護専門学校
pp.1223
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350111223
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診療の現場で、尿失禁や外陰部の不調を女性患者から打ち明けられることはほとんどありません。患者は「こんなことをおじさん医師に話しても仕方がない」と思うのか、あるいは忙しそうな医師の姿を見て「こんな相談をしては迷惑だろう」と遠慮しているのかもしれません。しかし、現実には40歳以上の日本人女性の44%が尿失禁を経験しているようです(本特集「尿失禁」p1236)。咳や荷物を持ち上げた際の軽い尿失禁は、かなり多くの女性が経験しているはずです。
私自身がこの領域に関心を持ったのは、当時70代だった母からの相談がきっかけでした。母は年に数回、頻尿や残尿感を伴う膀胱炎様症状に悩まされていました。抗菌薬を数日服用すると改善するものの、数カ月後には再び同じ症状が現れます。若い女性であれば性交が誘因となりますが、母の場合には明らかに異なる背景があるはずだと感じていました。

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