特集 画像検査との“上手な”つきあい方—知っておきたい画像検査・画像診断のアレコレ
【日常診療を円滑・安全に行うための画像検査の知識】
❷—これだけは押さえておきたい!—胸部単純X線読影のミニマム・エッセンス
森川 昇
1
1中東遠総合医療センター 呼吸器内科
キーワード:
胸部単純X線
,
スクリーニング
,
比較読影
Keyword:
胸部単純X線
,
スクリーニング
,
比較読影
pp.1007-1009
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350091007
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●病歴や身体所見を加味した読影を行う
無症状の患者にスクリーニングとして胸部X線を撮影する場合もあるが、可能な限り問診や身体診察を行ってからの撮影が望ましい。例えば、米国の指標1)では、50歳以上かつ20 pack-years以上の喫煙歴がある患者は肺がん高リスク群としており、肺がんの存在に留意しての読影が望ましい。また、図1の胸部X線では一見異常所見は指摘しえないが、「18歳、男性。急性発症の前胸部痛、呼吸困難、嚥下違和感があり身体診察で頸部の握雪感がある」という情報があれば、自然気胸や特発性縦隔気腫の鑑別が想起され、あらためてX線を見ると気胸はなく、よく見れば縦隔の線状陰影や頸部皮下気腫に気づき、特発性縦隔気腫の診断に至ることが可能になる。また、呼吸音で肺底部にfine cracklesを聴取すれば間質性肺炎の存在を疑う端緒になる。

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