特集 おなかの病気を診る〜機能性消化器疾患への誘い—つらいおなかの痛み、張り、下痢、便秘への処方箋
【機能性消化管障害の非薬物的治療】
❶機能性消化器疾患に対する漢方医学的アプローチ
吉永 亮
1
1飯塚病院 東洋医学センター 漢方診療科
キーワード:
大建中湯
,
人参湯
,
茯苓飲
,
四逆散
,
機能性消化器疾患
,
ストレス
,
冷え
Keyword:
大建中湯
,
人参湯
,
茯苓飲
,
四逆散
,
機能性消化器疾患
,
ストレス
,
冷え
pp.794-797
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350070794
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CASE
患者:50代、男性。
既往歴:アレルギー性鼻炎、睡眠時無呼吸症候群、鼠径ヘルニア術後
現病歴:X-5年に右下腹部痛があり、憩室炎と診断され保存的加療で改善した。その後も1〜2カ月に1回の頻度で37℃台の発熱と右下腹部痛が出現する。そのつど、近医を受診して、レボフロキサシン500mg/日の内服とブチルスコポラミン10mg/日、アセトアミノフェン500mg/日の頓用で対応していたが、X年1月に漢方治療を希望して当院を受診した。腹痛は過食、多忙によるストレス、お腹の冷えが誘因となり起こることが多い。排便は2〜3日に1回。排便時に腹痛あり。がっちりした体格で赤ら顔。
経過:冷たい飲食物で腹痛が誘発されること、腹部の触診で臍周囲の冷感を認めることから、冷えの関与を考えて、大建中湯1回5.0g(2包)、1日3回で治療開始したところ、毎日排便があるようになり、腹痛の頻度が低下し、抗菌薬の使用頻度が減少した。

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