特集 薬物治療の質向上
Part 3 薬物治療の質向上のために必要なスキルおよび考え方
11.臨床推論—薬物有害事象かどうかを適切に判断する
原田 侑典
1
Yukinori HARADA
1
1獨協医科大学病院 総合診療科
pp.355-364
発行日 2025年3月1日
Published Date 2025/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120020355
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どのような薬物治療にも薬物有害事象のリスクがある。薬物有害事象ではないのに薬物有害事象としてしまうと,必要な薬剤を中止・減量することによって原疾患が増悪する可能性が生じ,他剤へ変更すると新たな薬物有害事象のリスクにもつながる。一方で,薬物有害事象に気づけない,または誤って薬物有害事象ではないとしてしまうと,薬物有害事象による症状が持続する,もしくは悪化するほか,他疾患の検索のために不要な検査が行われ,身体的・心理的・経済的負担につながるリスクも増える。よって,薬物有害事象を適切に判断するためのスキルは薬物治療の質向上に必須である。
本稿では,鑑別の筆頭に薬物有害事象が含まれる症候である「浮腫」を例に,薬物治療において薬物有害事象を適切に判断するためのスキルとして臨床推論の技法について概説する。なお,適切な薬物治療と適切な評価(診断)はセットであり,本稿の内容は,質の高い薬物治療を目的とした診断の質向上のためにも参考にしていただきたい。
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