特集 ICUにおける抗菌薬:new era strategy
❻ —抗菌薬投与各論—抗真菌薬—侵襲性真菌感染症治療のためのポイント
蓮池 俊和
1
Toshikazu HASUIKE
1
1神戸市立医療センター中央市民病院 感染症科/総合内科
キーワード:
カンジダ血症
,
インフルエンザ関連肺
,
アスペルギルス症
,
ムーコル症
,
フルコナゾール
,
ボリコナゾール
Keyword:
カンジダ血症
,
インフルエンザ関連肺
,
アスペルギルス症
,
ムーコル症
,
フルコナゾール
,
ボリコナゾール
pp.205-217
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188348330170020205
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はじめに
従来,ICUにおける真菌感染症は,主に中心静脈カテーテル関連感染や熱傷に伴うものが中心であった。しかし,免疫抑制療法の進歩や移植医療の発展に伴い,好中球減少症および免疫抑制剤の使用に関連したまれな侵襲性真菌感染症の発生が増加傾向にある。さらに,2020年以降の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにおいて,重症COVID-19に侵襲性肺アスペルギルス症が合併し得ることが明らかとなり,侵襲性真菌感染症の診療に新たな課題をもたらした。
侵襲性真菌感染症は,一般的に培養検査の感度が低く,迅速な診断が困難であるため,しばしば治療の遅延をまねく。このため,真菌感染症の可能性を念頭におき,早期診断を意識することが,患者の予後に直結する重要な要素となる。
本稿では,ICUで遭遇する代表的な侵襲性真菌感染症の診断および治療に焦点を当て,抗真菌薬の適切な使用およびその注意点について解説する。

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