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はじめに
脳卒中者に対する理学療法を実施するにあたり,脳画像を活用することは評価の精度を向上させ治療プログラムを適切なものにするうえで非常に有益な手段であると認識している.ここでは脳卒中発症後に重度の運動麻痺を呈し,歩行に全介助を要した2症例に対して,どのように脳画像情報を活用して理学療法評価を進め,治療プログラムを検討したか,その実際を提示することで,具体的に理学療法に脳画像をどのように活用していくのかを紹介したい.
早期の装具作製は,より早期の歩行自立度の向上を導き,入院期間の短縮をもたらすことが複数の研究で報告されている1-6).すなわち,長下肢装具の適応と思われる症例には早期から適応を判断して長下肢装具を作製し装着したうえで積極的な歩行トレーニングを実施することが肝要である2-9).しかしながら,特に急性期においてはさまざまな機能障害,症状の改善が起こる時期であり,早期の長下肢装具の作製に躊躇してしまうこともあろう.そういった場合,当該症例がどれほどの期間にわたって長下肢装具を必要とするのか,下肢の運動機能の予後はどのようなものになるかを把握したいと思うものである.以下に示す2症例は重度の下肢運動機能障害を認め,歩行トレーニングを進めるために長下肢装具が必要な状態であった.備品の長下肢装具を使用して歩行トレーニングを行っているが,備品は完全には患者の身体に適応できず,長期にわたり長下肢装具を必要とするのであれば本人用の装具を作製することが望ましい.しかし,肉眼的動作分析では当該症例がどれほど長期にわたって長下肢装具を使用するか,今後の下肢運動機能がどのような経過を辿るかについては把握できない.それについて,画像情報はきわめて有益な情報を提供してくれる.それが把握できれば自ずと治療戦略も異なり提供する理学療法プログラムはその情報に沿ったものとなる.画像所見の異なる2症例の理学療法経過について述べる.

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