特集 精神療法が知りたい
精神療法の世界のダイナミズムとおもしろさ
③絵画療法―人間のイメージ・表象機能がもつ自己治癒性を導き出す
伊集院 清一
1
1多摩美術大学
pp.29-37
発行日 2003年5月15日
Published Date 2003/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900706
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表現とは,内なるものを外界へ・身体の外へ表出する行為であり.身体・感覚系を介しimpression(印象)として心の中に人ったものに対する反応としてのex-pression(表出)であったり,内発的イメージからの創造であったりする。すなわち,精神的・主観的なものを身体.感覚系を介して外面的・感性的・客観的形象として表すことである。その表された形象として,言語,表情,身振り,動作,化粧,服装,舞踏,絵画,音楽,造形,詩歌などが挙げられる。治療者は,こうした表現行為に介在することで,治療的な影響力をもつことができる。それが,精神療法(Psychotherapy)である。
精神医学における表現病理学は,正常な心理・精神をみるために,病的な面から探るというアプローチであるといえる。それは,「意識」を哲学的に思索するかわりに「意識障害」から生物学的・医学的にアプローチするのに似ている。表現病理学に対する芸術療法は,精神病理学に対する精神療法に対比させることができる。
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