連載 当事者研究・7
〈研究テーマ〉ケンカのしかた―発展的別居のすすめ
山本 賀代
1
,
下野 勉
1
1べてるしあわせ研究所
pp.82-88
発行日 2003年1月15日
Published Date 2003/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900545
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はじめに
私たち(山本賀代:自己病名=依存系自分のコントロール障害,下野勉:自己病名=依存系爆発型分裂病)が,一緒に暮らし始めたのは,2000年7月からである。浦河の町内に一軒家を借り受けて,“家族としての暖かく平和な家庭”を夢見ながらの生活が始まった。
私としては,生きていること自体が不安な毎日のなかで,そんな自分をまるで保護してもらうかのような感覚だった。彼は彼で「自分のコントロール障害」を抱えながら,そんな自分を棚上げして何とか私の面倒を見てやろうという気持ちが,がっちりと食い込んだ心理状態であった。しかも,すでにお互いに自分では背負いきれない「こころの爆薬」を抱えていた。だから,最初から無理な設定である。はじめから用量オーバー気味の状態でスタートした「新婚」生活だったが,最初は,酒に酔った勢いを借りてのケンカが“順調に”始まった。
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