特集 となりの看護記録
急性期のさまざまな看護記録
野添病院
古庄 経吉
,
高橋 圭二
pp.12-14
発行日 2001年5月15日
Published Date 2001/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900364
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〈記録対象者Iさんについて〉
看護者は,患者の傷ついた思いや,いま起こっていること,退院後の対人関係や社会生活をイメージしていきながら,関係作りを前提とした治療環境と人院生活を重要視して向かい合うことが求められてくる。
記録対象のI氏は,20歳の女性。2回目の入院で境界例の患者である。前回入院では,沸き上がる思いを抱えきれず,リストカットや頭を壁にぶつけるなどの激しい行動化を呈していた。2回目の入院ということで今回は,既に看護者との治療関係ができていたこともあり,入院当初よりスタッフに思いを語ることはできていた。しかし初回の入院時同様,どうしようもない思いを1人で抱えることができず行動化していた。今回の入院ではI氏にの抱えきれない思いを何とか行動化しないで,自分の中で向かい合うことができるようになる作業が看護の目標であると考えた。そこで担当スタッフは,「今回は,その思いを抱えていく方法を一緒に考えよう」と言葉でI氏に反している。このようなことが言葉で返せるということは,I氏と看護者との間に治療的関係(信頼関係)がある程度築けているということが読みとれる。
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