連載 くすりのくすり5
薬を飲まないという選択肢
鈴木 純一
1
1川越同仁会病院
pp.78-79
発行日 1998年9月15日
Published Date 1998/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900117
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“薬なんて”の内側
最近のエコロジー的な考え方と関係するのだろうか,薬は化学物質だから飲みたくないという患者きんがかなりいる。風邪の薬も,胃の薬も飲まないようにしているという。薬を飲みたがらない傾向それ自体は,それほど困ったことではない。むしろ,ちょっとした風邪でも抗生物質がなければ満足しない人たちよりも,よく話しあえばわかりあえることが多い。
精神科の薬については,飲んだ経験を持たずに,怖い,頭が変になる,副作用が強いからと薬を嫌う人もいる。彼らは,話しあいを続けると,納得して薬を飲んでもらえることが多い。しかし,実際に副作用でひどい目に遭ったので絶対に飲みたくないという人もいる。中途で薬をやめてしまう人たちの多くは,こうした嫌な経験をしている。
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