連載 傍らでいて・4
ロードレース
木暮 明菜
1
1群馬県立精神医療センター
pp.268-269
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689201288
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自身への否定的な内容の幻聴に苦しんでいる方が多くいます。頓服を服薬し横になって過ごす方もいれば、ロック音楽を聞いて幻聴に立ち向かう方、散歩をしながら気を紛らわせる方もいるようです。
彼は、自転車を漕いで幻聴を振り払うという方法をとっていました。夏は真っ黒に日焼けし、引き締まった筋肉がより精悍にさせていました。冬は群馬のからっ風にさらされて、両耳がしもやけで赤く腫れていました。きっと一日の大半を“幻聴を振り払うための自転車漕ぎ”に充てているのでしょう。
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