特集1 拒否する人には「快」より始めよ
隗より始めよ!―治療や身体ケアをさせてもらえる関係を作る小さな作戦
松谷 典洋
pp.44-49
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101156
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身体ケアを拒否する患者の「ニーズ」ってなんだろう
精神科の患者さんの身体ケアがしにくい理由は、「認知障害」「理解力の低下」「コミュニケーション能力の低下」「教科書通りに出現しない身体症状」「精神科看護師が身体的ケアに慣れていない」などである、といわれています。しかし、臨床経験上、私が最も本質的な理由だと思うのは、患者さんの「ニーズ」と、看護師側が考えているその人の「ニーズ」が合致していないからではないか、ということです。
以前、内科やICUに勤務していた私は、ケアやキュアは、患者さんの身体データに沿って必要なものを的確に、ダイレクトに「提供」することであり、それこそが看護師の仕事だと思っていたフシがありました。なぜなら、治療がある程度苦しくても、「疾患が完治・寛解すること」こそが患者さんのニーズの大半を占めているからです。
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