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イギリスにおける司法精神科看護の新たなる展開
小松 容子
1
,
吉川 和男
2
1マンチェスター大学精神看護学博士後期課程
2国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部
pp.42-46
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100591
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日本の司法精神科医療の手本だった英国
日本で本格的な司法精神医療制度である医療観察法制度が導入されて3年が経過しました。日本でこの制度を運用するに際しては、指定入院医療機関の多くのスタッフが、司法精神医療の先進国であるイギリスに派遣され、トレーニングを受けました。今日、日本の医療観察法病棟で実施されている各種ガイドライン、多職種チーム、包括的暴力防止プログラム、リスク・アセスメントとマネジメント、ケア・プログラム・アプローチの手法を用いたケースマネジメント、認知行動療法(Cognitive behavioural therapy:CBT)を中心とする各種治療プログラムなどはすべて、英国の司法精神科医療サービスを手本として導入されたものといえます。
しかし、医療観察法制度の黎明期においては、まだ、これらの概念やあり方について十分理解ができていたとはいえず、3年を経た現時点において、果たしてこのような理解でよかったのかなどの迷いが生じているのが現状だと思います。さらに、私たちが手本としたイギリスの司法精神科医療自体も、この3年の間に大きな変化を経ています。このような時期に、イギリスの司法精神科医療がどのような姿に変わってきているのかを改めて見直すのは意義のあることではないかと思いますので、私たちがイギリスで見聞したことを報告したいと思います。
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